やっと撮れたツマキチョウ

ツマキチョウ(褄黄蝶)はシロチョウ科の蝶で、野に、里に、そして、山麓と、どこにでもいる蝶。
ただし、春限定の蝶。飛ぶ姿は、一見、白色のモンシロチョウ(紋白蝶)に似ている。
この辺りでは、4月だけしか見ることができないようだ。
そして、季節限定ゆえに、知る人ぞ知る蝶のようである。


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画像 1 ツマキチョウの雄がいた   


タイトルに「やっと撮れた」と、大袈裟な表現をしたが、ツマキチョウのこの地での存在を知ったのが、2017年の4月のこと。
Webの蝶関連の図鑑やサイトで、ツマキチョウの存在は知っていた。翅裏の若草網目迷彩が印象的な蝶だった。
しかし、この地には生息していない蝶だと思っていた。
それが、2017年の4月に、偶然眼の前を横切った白色の蝶の翅端に橙色に近い黄色が見えた。

未知の蝶だったので、翅端の色の記憶を頼りに調べたら、直ぐに、ツマキチョウの雄と判った。
閉翅姿の若草網目迷彩がツマキチョウの特徴と知っていたが、オスの翅表の、翅端にある橙色に近い黄色が、名前(和名)の謂れとなったことは2017年4月の出遭い以降に知った。

褄(つま)は端の意味。江戸末期や、明治期には普通に使われていた言葉。
以前興味のあった明治期の絵図に「東の褄」という注記があったが、意味が不明だった。それが、散歩を始めて、ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)を知り、それがきっかけで、「東の褄」の謎が氷解したことがあった。
ツマキチョウや、ツマグロヒョウモンの和名の漢字表記に使われている「褄」の字には風情を感じる。

話しが、逸れてしまったが、2017年の4月、雌はどうにか撮影できた(画像 7 )。雄も撮影したいと思ったが、撮影はできず、眼前を横切る雄を数度見ただけだった。

そんな思いがあった中、2018年4月8日に、蜻蛉の偵察で訪れた丘陵地帯の山麓で、雄を2匹見た。
冒頭に、ツマキチョウはどこにでもいる蝶。と記したが、そのことを知ったのは4月になってからのこと。
4月2日の午後、自宅前で私に寄ってきた蝶がいた。白色の蝶だったので、モンシロチョウかと思ったが、翅端に橙色に近い黄色が見えたので、ツマキチョウの雄と判った。
山麓でしか見たことのなかったツマキチョウが自宅周辺を飛んでいた。我が家は一応市街地にある。
街中で見たので不思議に思って調べてみたら、季節限定だが、野に、里に、そして、山麓と、どこにでもいる蝶だった。


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画像 2 ツマキチョウの雄の翅表   


この日の午前、偵察で溜池を覗いた。溜池は、カワウ(川鵜)が1羽、ヒトを嫌って飛び去っただけ。蜻蛉の姿はなかった。
その溜池は、1週前は緑が気にならなかったが、この日はショウブ(菖蒲)の葉がぐんと伸びていた。
蜻蛉の姿はなかったが、何かの羽化殻でも有りやしないかと、水際も覗いてみたが成果はなかった。

そして、その後、別の溜池の畔で、ウグイス(鴬)の啼くのを聴きながら食事休憩。
蜻蛉の影もないので、隣の谷に移動することにした。
その移動途中に、ツマキチョウ(褄黄蝶)を見たのであった。

前翅の先(褄)に橙色に近い黄色が見えるので雄だった。それも、2匹いた。
ちょっと飛んでは直ぐにとまっていた。ホトケノザ(仏の座)や、セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)などにとまるのだが、吸蜜をしている様子はなかった。


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画像 3 ツマキチョウの雄 翅裏がちらりと見える   


一目で判る雄の印、「褄黄」のが写った翅表が撮れたので満足だった。
思い立って、1年。蜻蛉観察地点の偵察のための移動中のことだった。

ホトケノザにとまった個体が一瞬翅を閉じた。どうせなら、閉翅姿も撮りたいと思ったが、これはタイミングが合わなかった。
それでもどうにか、翅裏の若草網目迷彩が写った(画像 3 )。


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画像 4 ツマキチョウの雄   


3坪ほどの草むらにツマキチョウの雄が2匹いた訳だが、両方を同時に観察撮影するのは至難の業だった。
気が付くと、草むらの外れにやって来て開翅でとまる白い蝶がいた。もしかして、ツマキチョウの雌かと思いレンズを向けファインダを覗いた。
開翅でとまった白い蝶はスジグロシロチョウの雄のようだった。とまったのも束の間、どちらかのツマキチョウが追い払ってしまった。
それから間もなくして、2匹の雄はそれぞれに飛び去っていってしまった。

ところで、4月4日には川原のオオアラセイトウ(大紫羅欄花)群落で雄を目撃。オオアラセイトウの群落ではとまりそうでとまらなかった。同一個体かどうかは不明だが、数分後にやって来て、とまりそうでとまらないで通過していった。都合3回通過していくの目撃。撮影もできず、時間の都合でその場を去った。
と、直前に、そんなことがあったので、この日は雄の撮影ができて大満足だった。


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画像 5 オオアラセイトウにしがみ付く閉翅のツマキチョウ   


片方の雄が飛んだ先は法面がオオアラセイトウの群落になっていた。
オオアラセイトウの咲く法面を見下ろしたが、ツマキチョウの雄の姿は見出せなかった。

ツマキチョウは諦めて、次の谷に移動すべく後退りした。そしたら、足元のオオアラセイトウに異物が付着しているのに気付いた。
しゃがみ込んで眺めてみると、閉翅のツマキチョウだった(画像 5 )。

灯台下暗しの感があったが、思いがけずに、もう1匹観察することができた。
画像 3 では閉翅姿はタイミングを逃して撮りそびれた。今度は閉翅のままだが、足元過ぎて巧い角度で撮れなかった。それでも、どうにか画像 5 が撮れた。
天気は晴れだが、気温は16℃ほどで低め、そして、北西風が強かったので、翅休めをしているのだろうかと思ったが、カメラが近付いても、コンベックスが近付いても逃げなかった。


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画像 6 樹上に逃げたツマキチョウ   


存在に気付いてから20分ほどしてからのこと。
オオアラセイトウにしがみ付く閉翅のツマキチョウ、カメラが近付いても、コンベックスが近付いても逃げないのが不思議に思えた。
そこで、指で翅端をつまんでみた。翅表を確認すると雌だった。

この雌、飛べない訳でもなく、指を離したら飛び去り、閉翅で近くの木の葉にとまった(画像 6 )。
そのまま眺めていたら、しばらくして(7分後)、地面付近に飛び、今度は90度ほど翅を開いてとまった。地面付近にいたのは1分足らず。その後、法面の下方へ飛び去ったので見失ってしまった。


ツマキチョウ(褄黄蝶)
チョウ目(鱗翅目) シロチョウ科 シロチョウ亜科 ツマキチョウ属
Anthocharis scolymus



結局、小一時間道草を食ってしまった。
ツマキチョウは昨年存在を知ったばかりの蝶。雄の開翅姿が撮りたかったので、道草もちょうど好かった。


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画像 7 ツマキチョウ 雌  




   ---   補記
翅を閉じてとまる、逃げないツマキチョウのことが気になり蝶の掲示板で尋ねた。

白岩康二郎(しらいわこうじろう)さんのサイト「ぷてろんワールド」がある。
白岩さんが、蝶の百科事典を目指して作成しているサイトである。

そのサイト内に「ぷてろん掲示板」という蝶のお尋ね掲示板がある。その掲示板で、虫キチコージさんから回答を頂、謎が解けた。
閉翅のツマキチョウ(画像 5 )は、翅の先が少し外側にそれているとのこと。このことは、まだ羽化したてでしっかりと翅が固まっていない状態とのことだった。よって、まだ飛べるような状態ではなかったということだと思われる。とのことだった。

なるほど、勉強になった。
そういえば、画像 3 の雄の翅端も外側に反っているのが確認できる。
この場所にいたツマキチョウたちはまだ若く、この日に羽化したばかりの蝶たちだったのである。いわゆる新鮮なツマキチョウたちであった。
どうりて、雄たちがじっくりと撮らせてくれたことも合点がいった。





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