イトトンボ科 クロイトトンボ(黒糸蜻蛉)

 2018年はクロイトトンボ(黒糸蜻蛉)の発生が遅かったが、2019年もちょっと遅めになったようだ。5月3日に当日羽化と思われる雄を見た。
 全くの偶然で、眼前に止まった姿を目撃した(画像 1 )のであった。短時間の出来事で、記録撮影をしただけで、高い枝に逃げられてしまった。体色がまだ発色していない雄だった。
 羽化して間もない状態をテネラル(teneral)と呼ぶが、成熟した姿の体色でなく、色が薄い状態である。羽化したであろう池から少し離れた場所だったので、うっかりすると眼に留まらなかったかもしれない。


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画像 1 クロイトトンボ テネラルな雄  


 ついでなので、クロイトトンボ達が繁殖活動で活躍する水辺を覗いてみたが、クロイトトンボの姿は見い出せなかった。


 
 2019年の初見8種目は、
クロイトトンボ Paracercion calamorum calamorum (Ris, 1916) (* 1 )(* 2 )
均翅亜目(イトトンボ亜目) イトトンボ科 クロイトトンボ属
漢字表記 黒糸蜻蛉


 この地でのクロイトトンボの初見日の記録。そして、特定の水辺だけの記録。
 2017年が5月5日、2018年は5月20日が初見。そして、2019年が5月3日。いずれも当日羽化の個体で、3年間だけの記録だが、年によって発生日の変動が大きいようだ。


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画像 2 クロイトトンボ 雌を待つ成熟した雄  


 5月12日になって成熟した雄が雌を待つ姿が見られるようになった(画像 2 、画像 3 )。


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画像 3 クロイトトンボ 眼後紋が目立つ  


 とは言え、まだ個体数が少なく探すのが大変だった。
 
 クロイトトンボの識別は、眼後紋があって後頭条がないことが確認できれば容易なようである。厳密には肩縫線上の淡色斑がないことを確認しなくてはならない。
 もっとも、この地には比較対象の他のクロイトトンボ属が生息していないようなので、「肩縫線上の淡色斑がない」は置いておいて、「眼後紋があって後頭条がない」ことだけで足るようだ。




   ---   * 1  原名亜種、三名法
 学名の表記は属名と種小名(しゅしょうめい)を記載する二名法が標準。亜種の場合は、種小名の後に亜種小名を記載する三名法となる。
 クロイトトンボの場合は、原名亜種なので種小名(calamorum)の後に種小名が繰り返され、三名法の表記で、Paracercion calamorum calamorum となる。
 海外には別亜種として、Paracercion calamorum dyeri が分布するという。近くて台湾、遠くてインド・ネパールだそうだ。

   ---   * 2  Ris ・Ris, F. (Friedrich), 1867-1931
 Friedrich Ris (フリードリヒ リス・フリードリッヒ リス)さん。スイスの 医師であり、蜻蛉を専門とする昆虫学者として知られている。リスさんはリスアカネ(Sympetrum risi risi Bartenef, 1914)で有名。
 もっとも、私などはリスさんのことを知るまで、リスアカネ(りす茜)の「リス」はげっ歯目のリス(栗鼠)ではないかと思っていた。サナエトンボ科のダビドサナエ(だびど早苗)の「ダビド」は和名として違和感があったが「リス」は違和感を感じなかった。違和感を感じなかったので、昨秋(2018年)にリスアカネに出遭うまで、リスさんのことは知らなかった。
 蜻蛉の紀 2019はまだ8種目だが、学名登録が20世紀の種が登場した。




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