トンボ科 シオヤトンボ(塩屋蜻蛉)

 シオヤトンボ(塩屋蜻蛉)は、まだ肌寒い4月に、他の不均翅亜目(トンボ亜目)の蜻蛉に先駆けて、いの一番に姿を現す。
 野周りで日向ぼっこをする若いシオヤトンボを見るようになると、11月までの蜻蛉シーズンの開幕である。

 南東風が冷たい4月21日、南東風を避けて陽だまりで過ごすシオヤトンボの姿を求め探索地を彷徨っていた。
 2箇所目の探索地、成虫で越冬したテングチョウ(天狗蝶)、ルリタテハ(瑠璃立羽)は撮ってくれといわんばかりに近くに止まった。
 今春羽化した春の蝶もいた。例年なら5月上旬には姿を消してしまうミヤマセセリ(深山挵)だ。ミヤマセセリはどの個体も翅が傷んでいた。
 確証はないが、この地では成虫越冬しないと思っているヒメアカタテハ(姫赤立羽)も姿を現していた。

 と、蝶達は撮ってもらいたいのか姿を現すが、撮りたいと思っている若いシオヤトンボの姿がなかった。
 ルリタテハと戯れながら、ここもだめなら次の探索地。と思ったら、よたよたとやっと飛ぶ飛行生物がやって来た。
 そして、その飛行生物は躊躇しながら落枝に止まった。飛行生物は待ちかねた若いシオヤトンボだった。


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画像 1 若いシオヤトンボ 雄   


 よたよたとやっと飛ぶ飛び方と、灰色ののっぺら坊のような複眼から当日羽化の若すぎる個体であることは間違いない。
 そして、水飴がまだ固まっていないような透明の翅も羽化直後であると物語っていた。


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画像 2 若いシオヤトンボ 雄 同一個体の側面  


 期待通りの若い個体が現れたので、驚かさない程度に遠慮しながらの撮影だった。
 そして、シオヤトンボの2019年の初見で初撮りでもあった。
 しばらくして、彼の蜻蛉は翅休めが済んだのか、撮られるのが嫌だったのか、ひと飛びして斜面に紛れてしまった。
 シオヤトンボの未成熟の雄と、雌は、体色から林の中で止まっているときは発見は困難である。


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画像 3 若いシオヤトンボ 雄   


 その後、若い雄が2匹餌獲りをしながら日向ぼっこしているのが見つかった。
 既に上手に飛べるので逃げ足が速くて撮れなかった。それでも1匹が寄って来たので記録撮影ができた(画像 3 )。
 この個体は、複眼の色が少し濃くなり、翅の縁紋が色付いていた。ただし、腹部はまだ未熟のままだった。


 2019年の初見4種目は、
シオヤトンボ Orthetrum japonicum (Uhler, 1858) (* 1 )
不均翅亜目(トンボ亜目) トンボ科 シオカラトンボ属
漢字表記 塩屋蜻蛉


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画像4  早々と交尾 シオヤトンボ    


 ところで、翌週の27日には交尾と産卵を見た。場所はシオヤトンボの産卵地のひとつ、緩い流水の泥の水路である。
 交尾中の雄の胸部背面と腹部背面はすでに白色になり成熟したことを物語っていた。
 
 この水路、毎週のように覗いていたが、現状で、最後に訪れたのが6月2日。まだ、最後の老兵のようなシオヤトンボががんばっていた。
 その日はシオヤトンボと同属(* 2 )のオオシオカラトンボ(大塩辛蜻蛉)の羽化殻が沢山あった。それと、夕刻には新参者のシオカラトンボ(塩辛蜻蛉)の成熟個体も姿を見せていた。なお、シオカラトンボもシオヤトンボと同属である。

 9日は雨天で水路を覗けなかった。昨年(2018年)の6月3日には老熟しきったお婆さんシオヤが単独で、弱弱しく産卵の真似事をしているのを見た。
 ということで、このところ季節感が正常に戻りつつあるので、16日に水路を訪れることができれば、シオヤトンボが姿を消しているのを確認できるかも知れない。そして、水路はシオカラトンボとオオシオカラトンボの縄張り争いの戦場になっているかも知れない。


   ---   * 1  Uhler
 フィリップ リーズ ユーラー(Philip Reese Uhler)さん。アメリカの昆虫学者(1835年-1913年)。北米の半翅目(はんしもく) Hemiptera 異翅亜目(いしあもく)Heteroptera の研究分類に功績があるらしい。なお、半翅目異翅亜目は、カメムシ目カメムシ亜目ともいう。


   ---   * 2  シオカラ近縁種
 シオヤトンボはトンボ科シオカラトンボ属。同属にシオカラトンボとオオシオカラトンボがいる。この3種、シオカラトンボ属というくらいだから、雄が成熟すると腹部が塩を吹いたように白くなる。
シオヤトンボ Orthetrum japonicum (Uhler, 1858)  日本固有種。
シオカラトンボ Orthetrum albistylum speciosum (Uhler, 1858)  海外では中国、朝鮮半島、台湾などに分布しているという。  
オオシオカラトンボ Orthetrum melania melania (Selys, 1883)  トカラ列島以南の南西諸島、及び中国本土、台湾、朝鮮半島の個体群は、本種の亜種として分けられたという。
 分布などの情報は https://www.odonata.jp/神戸のトンボ)のデジタルトンボ図鑑を参照した。




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