5月20日 野周り その2 三年目のヤマサナエ 他

川と、沼を巡った後、丘陵地帯へ移動した。
いつもの丘陵地帯で、いつもの溜池を覗くと雌待ちのヨツボシトンボ(四星蜻蛉)たちであふれていた(画像 13、14 )。
溜池の蜻蛉分布は5月4日に観察した時とほとんど変わらない状況だった。
この日は、「秘密の平ら」も偵察したかった。秘密の平らは、「2018年 陽だまりの春の蝶 」でちょっと触れたことがある。


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画像 1 スイカズラ     


この日の野周り(のまわり)の締めくくりにと思いスイカズラ(吸葛)の花を記録した。
と、そのつもりだったが、その後、クロイトトンボ(黒糸蜻蛉)が登場してしまったので、記事の構成が違ってしまった。
それでも、せっかくきれいに咲いているスイカズラを画像 1 に採用した。

スイカズラはスイカズラ科スイカズラ属の半常緑つる性木本。
枝先の葉腋に花を2個ずつ付けるので、果実も2個ずつ並んで付く。
雄しべが5個、花柱が1個。そして、雄しべと花柱がそれぞれに花冠から長く突き出る。
ちょうど、そんなスイカズラの花があったので撮影した。野周りも最後なので、気力が落ち、気合の入った画像が撮れなかった。
それでも、スイカズラの花の雰囲気が伝わっているような気がする。記憶によれば、スイカズラの花は石鹸のような芳香があったと思った。が、この日は匂いは気付かなかった。


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画像 13 雌待ちのヨツボシトンボ 雄   


スイカズラの花で、一気に終盤へ飛んでしまったが、時間軸をいつもの溜池に戻す。
ヨツボシトンボは、雄が多すぎて飛び回る時間が長くなるので、疲れて、とまって雌待ち兼、縄張り侵入者の監視中の姿が目立った。

画像 13 では、胸側の模様がうまい具合に写っていた。

画像 14 の個体は眼前にとまったので、概側をした。
腹長30mm、全長40+mm、後翅長30mmだった。
四つ星のいわれは、翅の結節付近の黒色斑。翅の結節付近の黒色斑の他に、後翅基部の黄色と黒色の斑紋が写っていた。


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画像 14 雌待ちのヨツボシトンボ 雄   


ヨツボシトンボたちを眺め続ける訳にも行かないので、溜池から移動した。

移動後、建物の日陰で一休み。日陰は23℃。爽やかな場所だったので、空腹ではなかったが、2度目の行動食を摂った。
尾根の末端部や林縁の濃くなってきた緑を眺めていると、「トッキョキョカキョク」、「トッキョキョカキョク」と、明瞭にホトトギス(不如帰)の鳴き声が響いてきた。
記憶が定かでないが、今年初めて聞いたホトトギスの鳴き声のような気がした。
あまりにも明瞭に響いているので、『目には青葉 山ほととぎす 初鰹』という句を思い出した。

ホトトギスはこの先、いたる所で鳴いていた。夕刻には「テッペンカケタカ」と鳴いていた。
気持ちの余裕でもあれば、ICレコーダと、ガンマイクを携行するのも面白いかなと思ったりもした。


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画像 15 雌待ちのシオヤトンボ 雄   


日陰で休憩後、野周りを再開した。
水路脇には雌待ちのシオヤトンボ(塩屋蜻蛉)が待機していた(画像 15 )。


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画像 16 シオヤトンボ 雌   


珍しく、シオヤトンボの雌も水路脇にいた(画像 16 )。産卵(交尾)に出てきたのだろうか。
先の都合もあるので、撮影だけに止めた。


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画像 17 交尾中のシオヤトンボ   


水路脇を進むと、縄張り争いをしながらの、雌待ちの雄たちがいた。
突然にバサバサと翅音がした。翅音が聞こえた方を見ると、交尾態で交尾場所を探すシオヤトンボが見えた。
交尾態で飛ぶシオヤトンボは直ぐに着地し交尾を続けた(画像 17 )。

交尾後、連結を解かれた雌は一休みした。その時、一匹の雄が侵入してきた。
侵入してきた雄を、警護の雄が追尾・駆逐をした。雄の方に気を取られていたら、一休みしている雌を見失ってしまった。
雌は同じ場所で休んでいたのだが、体色が湿土迷彩なのか、発見に時間が掛かってしまった。結局、ファインダに捉える前に産卵飛行に飛び立ってしまった。産卵飛行は雄の警護付であった。


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画像 18 草むらでひっそりと過ごす若いシオカラトンボ 雄   


羽化殻探しに入ると、水路際の草むらに、まだ若いシオカラトンボ(塩辛蜻蛉)の雄がひっそりと忍んでいた(画像 18 )。


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画像 19 シロスジヒゲナガハナバチ 吸蜜   


秘密の平らは、メインのナヨクサフジ(弱草藤)の花盛りはまだだった。
それでも、数株のナヨクサフジが咲き始めていた。
蜂や虻が蜜を求めていた。撮り易い虫を撮影したら触角の長い蜂だった(画像 19 )。

触角の長い蜂の正体は、シロスジヒゲナガハナバチ(白筋髭長花蜂)。
似たものに、ニッポンヒゲナガハナバチ(日本髭長花蜂)がいるが、虫naviサイトの掲示板で、「tsuki」さんに確認していただいた。
「前翅の肘室」が2個に見えるので、シロスジヒゲナガハナバチであろうとのこと。
ニッポンヒゲナガハナバチの場合、「前翅の肘室」が3個あるとのことで、前翅の肘室で便宜上の区別はつくとのことだった。
参考ページ。https://mushinavi.com/navi-insect/data-hati_higenagahana_nippon.htm

なお、画像の個体は触覚が長いので雄。雌は触覚が短いとのこと。
また、便宜上の区別点にせよ、「前翅の肘室」をうまい具合に撮るのは諸条件が揃わないと難しいと思った。


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画像 20 隠れたつもりのテングチョウ   


この秘密の平らは、虫が多い場所である。
テングチョウ(天狗蝶)も遊んでいた。撮影前に飛ばれてしまったが、枝にとまった姿が撮れた。テングチョウは隠れたつもりなのだろうが、眼で追尾していたので、ファインダに捉えることができた(画像 20 )。


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画像 21 静養中のシオカラトンボ 雌   


秘密の平らを去ろうとしたら、出口で、シオカラトンボの雌が待ち構えていた。
シオカラトンボは撮ってもらいたいのか、色々とポーズを取った(画像 21 )。
この雌、産卵後の静養でもしていたのだろう。


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画像 22 短時間地上に降りたヤマサナエ 雄   


小尾根の陰で日が翳り始めた法面にシオヤトンボの雌(画像 23 )が待ち構えていた。
私が進めば、道先案内の如く先へと飛んでとまった。道を塞ぐようにとまっているので撮影することにした。
撮影をしていると、別の雌がやって来て縄張り争い(?)を始めた。2匹の雌で、ちょっと賑やかになったと思ったら、今度は、別種の蜻蛉が地面にとまった(画像 22 )。
別種の蜻蛉は見るからに早苗蜻蛉だった。
時期が少し早いがオナガサナエ(尾長早苗)かと思ったが腹端の形状が違った。そして、ちょっと離れていたが目測で70mmほどだった。腹端の形状も体長もオナガサナエではなかった。

現地では不確かだったが、帰宅後、画像を検証すると、ヤマサナエ(山早苗)の雄だった。
ヤマサナエの証拠画像は、この丘陵地帯では、初めてだった。

3年前の、2016年5月7日に、この場所で、正体不明の蜻蛉を見た。摂食飛翔の姿を見上げて眺めただけで撮影はできなかった。
その時のMEMOに、「空中で、飛びながら餌を食う虎縞蜻蛉。60~70mm程度。飛びながら小便もする。胸部下面、黄色。腹部前方下面も黄色。胸部、大きい。翅は銅色に輝く。」とあり、5月17日の追記に「候補 ヤマサナエ」。と、あった。

そんなことで、初見から3年目にして、ようやく証拠画像が撮れた。そして、正体不明の虎縞蜻蛉が、ヤマサナエと確認できた。
どこかの沢筋で羽化したものが、餌場として、この場所へやって来るのであろう。


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画像 23 静養中のシオヤトンボ 雌   


この雌(画像 23 )が道を塞いでくれたお蔭で、短時間ではあったが、地上に降りたヤマサナエと出遭うことができた。


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画像 24 摂食中のシオカラトンボ 雄   


シオカラトンボの雄が餌を食っていた(画像 24 )。
成熟した雄のように見えたが、林縁にいるということは、まだ、産卵場所へデビュウ前なのだろうか。
今のところ、水辺ではシオカラトンボの姿は疎らである。


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画像 25 翅を落とさないテングチョウ   


この日、5匹目のテングチョウ(画像 25)。翅を開いてとまってくれたのだが、ファインダで捉えることができなかった。その代わり、翅を落とさないでとまった姿は撮ることができた。
なお、1~3匹目はこのブログの記事では紹介していない。画像 20 は、4匹目のテングチョウになる。


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画像 26 クロイトトンボ 当日羽化の雄   


野周りの最後は、丘陵地帯山麓の水辺に立ち寄った。
この場所、例年、5月の初めにはクロイトトンボ(黒糸蜻蛉)で賑やかな場所である。ところが、今年はまったく姿を現さないままだった。
この日、途中で寄ってきた、クロイトトンボの他の観察地でも姿がなかったので、諦め気分だった。

確かに、この水辺にも、まったく、クロイトトンボの姿はなかった。
ところが、下手な飛び方の糸蜻蛉が飛び出てきて、岸の土へとまった。とまったのは判ったのだが、目視で蜻蛉が確認できなかった。眼を凝らしていると、地面から下手に飛び立った。そして、今度はカメラのストラップにとまった(画像 26 )。
間近で見れば、クロイトトンボの若い雄だった。水辺から飛び出た状況と、クロイトトンボ固有の色がないので、当日羽化の未熟な個体と判断した。
飛び出てきた辺りを覗き込むと、羽化殻らしきものが見えた。2m以上離れているので、羽化殻の回収は諦めた。

画像から判断すると、観察例はほとんどないが、羽化間もないテネラル(teneral)と呼ばれる未熟な個体なのであろう。
2017年5月5日の暫定記録、「クロイトトンボ 若い雌雄」に登場した若い雄よりも更に未熟なことは歴然としていた。


ほとんど蜻蛉観察だけだが、充実しすぎた野周りだった。
特に、3年目にして、正体が判明したヤマサナエとの出遭いは感慨深いものがあった。
短時間ではあったが、地上に降りたヤマサナエと出遭うことができたのは偶然のタイミングだったのであろう。

植物の方では、オオバコ科クワガタソウ(Veronica)属のカワヂシャ(川萵苣)関連の課題もできてしまった。




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