彼女のご馳走はシオヤトンボ

2017年5月28日、廃田の草むらに踏み込むと、コオニヤンマ(小鬼蜻蜓)の雌がいた。
シオヤトンボ(塩屋蜻蛉)の雄達と、ハラビロトンボ(腹広蜻蛉)の雄もいた。シオヤトンボとハラビロトンボは雌待ちだった。
せっかくなので、コオニヤンマの雌の、この年の初撮り記録を済ませた。
そして、ハラビロトンボの交尾を期待して、ハラビロトンボの雄の観察撮影を始めた。
シオヤトンボの方は、前日に交尾と産卵を観察していたので、この日は、ハラビロトンボの雄の行動を中心に観察した。
そんな時に、コオニヤンマの雌が東の方へ飛び立った。
コオニヤンマは直ぐに戻ってきたが、大きな獲物を抱きかかえていた。

コオニヤンマの雌は、直前までの待機場所の鉄パイプにとまろうとした。が、ヒトの目が気になったのか、とまらずに飛び、1段上の草むらに移動した。

私は、コオニヤンマの食事見たさに、追いかけた。
廃田の足下の沈み具合は判らないが、兎に角、コオニヤンマの姿を追った。
途中で、先ほどとは別のハラビロトンボの雄がいたが、蹴散らすように草藪を踏み分けた。

話は中断するが、この廃田の草むらに踏み込むようになったきっかけがあった。
その前日のこと。廃田の草むらの上を大きく、長楕円形に、旋回するように飛ぶ蜻蛉を目撃した。虎縞模様で、やや大きめの蜻蛉に思えた。
草の上を、1~2m程の高さでゆっくり目に飛んでいた。
虎縞模様から早苗蜻蛉の仲間であろうと推測したが、とまった姿を確認しなければ、名前(和名)の判断ができない。
そこで、正体を確認すべく、廃田の草むらに踏み込んだ。それが、寄り道・道草の始まりだった。


この廃田、昨年、オオシオカラトンボ(大塩辛蜻蛉)の交尾、産卵を遠目に眺めたことがある。
ズブズブ程度は不明だが、ズブズブは必至で、入らずの廃田と定めていた。
1枚上の廃田は、多少のぬかるみがあるが、入らずの廃田と定めた方は、蜻蛉が産卵する水溜りがあるくらいだから、最低でも長靴は必要である。

長靴は履いていなかったが、大きめの蜻蛉の正体を確認すべく、廃田の草むらに踏み込んだ。
昨年、オオシオカラトンボが交尾、産卵を目撃した水溜りは、大分小さくなっていた。
そういえば、上流の湿地も今のところ渇き気味である。
もっとも、昨年、オオシオカラトンボの交尾、産卵が盛んになってきたのは、6月26日。梅雨の前と、梅雨の最中では水位も違うのであろう。
水溜りの大きさや、廃田のぬかるみ具合は、昨年の同時期の記録がないので、実際のところは判らない。

それでも、水溜りは、シオヤトンボの雄であふれんばかりだった。
シオヤトンボの雄達は、水溜りの上や周辺で、乱舞するかのように飛び回っていた。
そこに、1匹だけ毛色の違う蜻蛉がいた。その蜻蛉は直ぐにとまってくれたので、ハラビロトンボの雄と確認できた。
草にとまったハラビロトンボの雄を観ていると、私の脇が賑やかになった。
シオヤトンボの雌が来たので、雄達が必死になったのであった。
と、そんなことで、大きめの蜻蛉の正体を確認するのを忘れて、ハラビロトンボの雄、シオヤトンボの交尾、産卵などの観察撮影を始めてしまった。


話は先ほどの続きに戻す。
と、前日のことがあり、そして、この日。ハラビロトンボの交尾、産卵を期待して廃田に分け入ったのであった。
そしたら、錆びた鉄パイプに、コオニヤンマの雌がとまっていたのであった。
大きめの蜻蛉のことはすっかり忘れていて、廃田に分け入ったのであったが、コオニヤンマのとまっている姿を見て、昨日の蜻蛉のことを思い出した次第である。
大きさと、時期的なことから、昨日、気を惹かれた虎縞模様の蜻蛉はコオニヤンマだったようだ。


画像

画像 1 摂食中のコオニヤンマ 餌は縁紋からシオヤトンボ   


画像の時系列が前後してしまうが、本稿のタイトルが「彼女のご馳走はシオヤトンボ」なので、餌となっている蜻蛉がシオヤトンボと判る画像を最初に配置した(画像 1 )。
既に、餌食となった蜻蛉の頭部は、食われて、なくなってしまっている。
が、しかし、頭部は見えなくとも、縁紋の色合いから、シオヤトンボと判る。


画像

画像 2 コオニヤンマがとまっていた   


ここで、画像と文が、時系列順になる。廃田に分け入ったところからである。
何故だか、廃田に鉄パイプが刺さっていた。
いかにも、コオニヤンマが好んでとまる環境である。
そんな錆びて痩せた鉄パイプで、餌場に侵入してきたヒト(人間)を監視するかのようにとまっていた(画像 2 )。
複眼が離れ、小さな角(実際は角ではない)の突起が、コオニヤンマだと物語っていた。


画像

画像 3 コオニヤンマの雌   


しばらく間を置いて、コオニヤンマを見ると、「私はメス、撮ってくれ」といわんばかりに横姿でとまっていた。
横姿は、胸部に比べて頭部が小さく、後脚が異様に長く感じられる(画像 3 )。いかにも、コオニヤンマである。
後脚は、特に腿節が長い。


画像

画像 4 獲物は蜻蛉のようである   


獲物をくわえたコオニヤンマのとまった辺りを目指した。
ズブズブになることもなく、どうにかコオニヤンマの食事場所に近づけた。
しかし、コオニヤンマのとまったのはオートフォーカスの苦手な場所だった。
イネ科の植物の穂に、獲物を隠すようにとまっていた(画像 4 )。


画像

画像 5 獲物の頭部からかぶりつく   


前脚で獲物の蜻蛉を羽交い絞めにして、頭部からかぶりついているようだった(画像 5 )。
時系列順だと、この画像の次が画像 1 となる。
画像 1 では、餌食となった蜻蛉の頭部は、食われて、なくなってしまっている。既に、前胸部背面を食っているところである。
参考までに、画像 5 と画像 1 の時間差は1分34秒。
生でも蜻蛉の頭は固いと思われるが、1分半足らずで食っていることになる。


画像

画像 6 参考画像 シオヤトンボの雄   


今までに、コオニヤンマの狩が成功したのを数回目撃している。が、いつも、獲物をくわえたまま、近くの樹上へと隠れてしまうので、食っているところは見たことがない。
今回は、近くに樹のない草原状の場所だったので、運良く食事光景を観察撮影できた。
もっとも、完食まで観察できた訳ではなく、途中で逃げられてしまった。
すぐ近くにとまったり、ヒトの肩や腕に止まるくせに、摂食は見られたくないのかも知れない。



コオニヤンマ(小鬼蜻蜓)
トンボ亜目(不均翅亜目) サナエトンボ科 コオニヤンマ属
Sieboldius albardae
コオニヤンマの狩は一触捕獲。獲物にかわされても深追いはしないようだ。
若い個体、特に雄は成功率が低いように思える。


5月28日、この日が、2017年のコオニヤンマの初撮り。
2016年の記録を確認したら、6月4日がコオニヤンマの雌の初見日だった。




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