ホソミイトトンボ 越冬明けの連結産卵

2017年4月30日、晴れ。溜池で、眼が慣れてきたら、連結で飛ぶ糸蜻蛉が見えてきた。
雌雄共に水色の目立つ蜻蛉だった。
ゆっくりとした連結飛行の行方を眼で追うと、水面に接した水生植物の葉の上にとまった。
とまったのは、うまい具合に折れて、水面に接した葉だった。
葉の上にとまっているのは雌だけ。雄は尾部付属器で雌の前胸を押さえ、斜めに立つようにしていた。


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画像 1 葉の上にとまったホソミイトトンボの連結   



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画像 2 ホソミイトトンボの産卵が始まるところ   



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画像 3 ホソミイトトンボの連結産卵   



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画像 4 ホソミイトトンボの産卵が一区切り   


ゆっくりと飛ぶ姿を見ているとき、雌雄共に鮮やかな水色が目立ので、越冬明けのホソミオツネントンボ(細身越年蜻蛉)の連結であろうかと思った。
生態を把握していなかったが、越冬明けの成熟したホソミオツネントンボが見たくて、この溜池に3月から通っていた。
そして、4月の末、やっと見られた。そこで、水生植物が葉を伸ばし始めた頃に水辺に産卵のためにやって来たのだろうと思った。

しかし、とまって産卵が始まったので、ファインダ越しに観ると、腹部が異様に細く感じられた。特に雄の第3~6節が細いようだ。それと、ホソミオツネントンボに比べると、腹部の水色模様が少ないように思えた。
帰宅後、調べたら、ホソミイトトンボ(細身糸蜻蛉)だった。
水色に変身した越冬明けのホソミオツネントンボは観られなかったが、この地では見られないと思っていたホソミイトトンボの存在を知ったので嬉しくなってしまった。


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画像 5 枯れた茎にとまるホソミイトトンボの連結   


一見、雌雄とも同配色。
体長は目測で、雄が38mm、雌が40mmほど。
連結状態(画像 5 )なので、雄は腹端部を曲げ、尾部付属器で雌の前胸部を押さえている。それで、雄の体長が雌よりも短く見えた。
その後、単独の雄も観察できた。体長は、目測で40mmほどだった。


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画像 6 ホソミイトトンボ 連結中の雌   


一見、雌雄とも同配色だが、雌雄の連結中なので、画像 6 では、後方の前胸部を押さえられているのが、容易に雌と判断できる。
また、雌は背面側の腹部第8節と第9節に水色の欠落があり、地色の黒色が模様になっているようだ。

画像 7 は、雌雄の連結中の雄。
腹部が細く見える。雌と比べると、ずいぶんと細い。特に、腹部第3~6節が細いようだ。
雌の腹部第8節と第9節の水色の欠落とか、雄の腹部第3~6節が細いなどは、とまっていたので、ファインダ越しに確認できた。
飛んでいる姿からは、私の眼では判別できないかも知れない。


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画像 7 ホソミイトトンボ 連結中の雄   


ホソミオツネントンボとの2014年1月の出遭い(成虫で越冬するホソミオツネントンボ)で、成虫で越冬する蜻蛉の存在を初めて知った。
国内では、ホソミオツネントンボとオツネントンボ(越年蜻蛉)、それと、ホソミイトトンボの存在が知られている。
越冬中のホソミオツネントンボ雄と、越冬前の雌を見ているので、越冬明けの姿を見てみたいものであると思っている。
そんな訳で、この溜池には、越冬明けの成熟したホソミオツネントンボ狙いで通っていた。

それと、棲息しているのなら、オツネントンボとも出遭ってみたいと思っている。
ホソミイトトンボに関しては、2014年1月に調べた時に、この地には棲息していないようだったので、出遭いは諦めていた。

そんな時に、ホソミイトトンボの越冬後の成熟した姿が観察撮影できたので記録しておくことにした。


ホソミイトトンボ(細身糸蜻蛉)
イトトンボ亜目(均翅亜目) イトトンボ科 ホソミイトトンボ属
Aciagrion migratum
ホソミイトトンボの産卵は、連結植物組織内産卵(れんけつしょくぶつそしきないさんらん)と呼ばれる。
画像 1 ~画像 4 に一連の産卵行動が写っている。
連結のまま、移動しながら、数箇所に産卵するようだ。


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画像 8 ホソミイトトンボ 雌 背面   


別の溜池の畔で弁当を済ませ戻ってきた。
連結飛行や、産卵をしている雌雄の姿は見えなかった。
代わりに、個々に水生植物の葉にとまり、休んでいる姿が見えた。観察撮影には光線の条件が好かったので撮影しておいた。


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画像 9 ホソミイトトンボ 雌 斜め側面から  


雌の背面側は、腹部第8~10節が水色。また、腹部第8節と第9節の背面に水色の欠落があり、地色の黒色が模様になっている。


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画像 10 ホソミイトトンボ 雄 斜め側面から  


雄の背面側は、腹部第8~10節が水色。雌のように、水色の欠落がなく、水色はべた塗り状態。
尾部付属器は小さいようだ。イトトンボ科ホソミイトトンボ属の特徴なのだろうか。

もっとも、糸蜻蛉の尾部付属器の観察経験は乏しく、ホソミオツネントンボ(アオイトトンボ科ホソミオツネントンボ属)と、オオアオイトトンボ(大青糸蜻蛉)(アオイトトンボ科アオイトトンボ属)の2種しか見た記憶がない。
ホソミオツネントンボもオオアオイトトンボも湾曲した立派な鋏状の尾部付属器が付いていた。


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画像 11 ホソミイトトンボ 雄 背面  


画像 11 の雄を観察撮影していると、腹部が動き出した。


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画像 12 ホソミイトトンボ 雄 移精を始めようとする?  


腹部を下方に曲げて、腹端部を胸部近くに持ってきた。
腹部第2節の腹面にある副性器に接触した画像は撮れなかったが、産卵期という時節柄、移精(いせい)の行動だったと思われる。
短時間の行為だった。


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画像 12 ホソミイトトンボ 雄 移精寸前?  


今までは、散歩の途中で未知の蜻蛉に出遭い、撮影し、種名(名前・和名)調べる。
そして、既知の蜻蛉となる。
出遭いがなければ、どんな蜻蛉がいるかも知らない。と、そんな具合だった。

ところが、このホソミイトトンボは、以前に越冬中のホソミオツネントンボとの出遭いがあったので、その関連で、成虫で越冬する蜻蛉として知っていた。
その時に調べて、この地には、ホソミイトトンボが棲息していないことも知っていた。
そんな訳で、この日のホソミイトトンボとの出遭いは真に嬉しいものがあった。

ただ喜んでばかりもいられないので、Webで調べてみた。
この地および周辺ではまったく記録がなかった。
県域では、ちょっと離れた場所のようだが、2016年5月の記録があった。それが、県内の初記録とのことだった。
どうやら、ホソミイトトンボは東進北上中で分布域を増やしているようだ。
いずれにしても、この地での棲息(定住)を継続的に観察する必要があるのであろう。







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