吸われたルリボシカミキリ

オオイシアブ(大石虻)に、吸われて、捨てられたルリボシカミキリ(瑠璃星髪切)を観察した。
2016年6月11日、伐開地の作業道跡でのことである。
観察に適しためぼしい植物がありやしないかと歩いていると、クマバチ(熊蜂)らしき虫が草陰に降りた。
クマバチでは興味が湧かなかったので、植物の物色を続けた。すると、眼前の枯れた落枝にシオヤアブ(塩屋虻)がとまった。
今年はシオヤアブをまだ撮っていなかったような気がしたので、植物の物色を中断して撮影することにした。
ところが、カメラを構える前に逃げられてしまった。
そこで、なりゆきだが、クマバチらしき虫を確認することにした。

クマバチらしき虫は、飛んできて、降りるまでを漠然と眺めた。その時に、黄色と黒色の配色の虫だった。
降りた草陰に狙いをつけながら覗き込むと、クマバチではなく、黒色と黄色の配色の虫引虻(むしききあぶ)の仲間のようだった。
ファインダを覗くと、水色のルリボシカミキリらしき獲物を押さえつけていた。

シオヤアブは撮り逃がしたが、同じ虫引虻の仲間の捕食(吸汁)場面、これは是非に記録しなくてはと勢い込んだ。
黒色と黄色の配色の虫引虻は、割と最近に交尾場面を撮り損ねたオオイシアブを連想させた。
結局、虫引虻の正体は、後の画像確認で、オオイシアブと判った。
(オオイシアブの記録を遡ったら、今年の5月7日に、交尾場面を撮り逃がしていた。捕食は撮影してあったが、その時の獲物はオオイシアブの胸部と同じくらいの大きさの小さな虫で、種類の特定はできていない)



この日の虫引虻の獲物は、その水色から、ルリボシカミキリを連想した。
ルリボシカミキリは、髪切虫としては、この丘陵地帯の散歩を始めて初めに目に付いた種類。

2011年7月17日のこと、緑色の葉の上に水色の髪切虫を見た。その色は、目立ちすぎだが、美しい色の髪切虫と思った。
そして、名前(和名)を調べたら、ルリボシカミキリだった。
そんなことがあり、ルリボシカミキリの色の具合と、名前だけは知っていた。


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画像 1 オオイシアブがルリボシカミキリを吸っていた  


葉の隙間からの撮影で、巧く写らなかったので、別角度から撮影したかった。
私が立って、動こうとしたら、虫引虻は獲物を捨てて飛び去ってしまった。
虫引虻が飛び去った場所の葉を掻き分けると、瀕死の髪切虫がいた。
葉が邪魔をしてまともな撮影はできないので、髪切虫を移動させた(画像 2 )。


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画像 2 オオイシアブが捨てていった瀕死のルリボシカミキリ  


髪切虫を移動させ、土の上に置いた。
やはり、見覚えのあるルリボシカミキリだった。
胸部背面の黒色模様の右下に穴が開いていた(画像 7 )。虻が口吻を刺した痕であろう。
ルリボシカミキリはまだ絶命していなかったが、この状態から蘇生するとも思われなかった。


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画像 3 ルリボシカミキリ  


せっかくの機会なので、体長測定をした。体長は24mmだった。
簡易ノギスで測ると、22mmだった。
平らな板でも置いて、仰向けに測ると、より正確な体長が測れるのだろう。が、私的には、とりあえずの簡易測定の数値で十分だ。


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画像 4 ルリボシカミキリ 背面 


触角はコンベックスで概測して35mmだった。
触角の節ごとの先端部には、黒色の毛が目立った。
帰宅後に調べて判ったのだが、この毛のある位置で、雌雄の区別ができるとのことだった。
雄は触角の第3~5節に、雌は第3~7節に毛があるとのこと。

この個体は、触角の第3~5節にボリュウム感のある毛束。第6~7節には、画像を拡大すると、疎らな毛があった。
それらのことから、雌と判断した。


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画像 5 ルリボシカミキリ 腹面。腹部と胸部 


普通に生きている虫ならば、見ることもないだろうと思い、仰向けにして、腹面も観察撮影した。
後脚の付け根にも穴があった。この穴も口吻を突き刺さされた痕であろう。
穴の中には芥子粒のようなものが詰まっているのが見えた。卵でもあったのだろうか。
腹端部の交尾器も見えるが、知識のない私には雌雄の区別が付かない。
この交尾器の形状から、甲虫に詳しい人なら、一目瞭然で雌雄の区別が付くのだろう。


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画像 6 ルリボシカミキリ 腹面。胸部と頭部  


口器辺りも大腮(たいさい・おおあご)やら鬚(ひげ)やら構造物があるが、複雑だった。


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画像 7 ルリボシカミキリ 胸部と頭部。黒色模様の右下に穴、オオイシアブが口吻を刺した痕であろう    


頭部には触角の基部に小さな勾玉(まがたま)形状のものがあった。
もしかして、これが複眼なのだろうかと思った。
髪切虫は触覚が立派なので、複眼は触覚の補助程度のものなのだろうか。
後で調べたら、小さな勾玉形状のものは複眼の一部であった。頭部の側面に、それなりに大きな複眼があるとのこと。
現地で、せっかくの機会ながら、側面からの撮影を忘れてしまった。まったく残念なことをしてしまった。画像 6 と、画像 7 に、見づらいが、頭部側面の複眼が写っていた。 


今まで、間近で撮影する機会もなかったので、体色については気にしたことがなかった。ルリボシカミキリの体色は、漠然と水色と思っていただけだった。
今回、素人ながら、何が水色なのか解った。体(外骨格(がいこっかく))でも、触角でも、脚部でも、水色の部分は短い細い毛に覆われていた。ルリボシカミキリの水色の体色は、毛の色だった。
触角の黒色部分には、やや長めの黒色の毛が疎らに見えた。
もしも、ルリボシカミキリ似せた人工物に、植毛するとしたら、とんでもなく大変なことだろうと思ってしまった。




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