初めは騙された アケビコノハの幼虫

シベリアから北海道東方に移動した低気圧と、シベリアから日本海に南下した高気圧とで西高東低の気圧配置になっていた。
昨晩からの強い北西風が一旦は止んだが、朝から冷たく強い北西風が時々吹いていた。せかっくの日曜日なので、丘陵地帯へ出掛けるつもりだったが、気温が低めなので躊躇していた。
それでも、ささやかな葛藤の末、意を決して、丘陵地帯へと出掛けた。

そんな、2015年10月25日の日曜散歩。
3箇月ぶりにいつもの道から入った。
猪のぬた場の縁の、気になっていたアレチウリ(荒地瓜)も姿がなかった(※ 1)。
危惧していたジョロウグモ(女郎蜘蛛)の巣は少なくなっていた(※ 2)。
難儀だったのは、倒木が2箇所で新たに道を塞いでいたことだった。

勾配がきつくなり乗越状の場所に出る手前で、奇異な物を見た。
奇異な物とは、コアジサイ(小紫陽花)に似た株から葉のない枝がすっと伸びている植物。
その枝先近くに黒色のごみの様な物体が見えた。気になったので、近付いて、虫眼鏡で覗くと黒色の幼虫だった(画像 1)。
胸脚は図太く、頭部は二又の角状になっていた。初めて見た未知の幼虫だ。
山の陰で、すでに日陰で薄暗く、風も切りなく吹いていた。そんな場所なので、撮影観察には向かなかった。それでも、未知の幼虫の正体を知りたくて、撮影観察の道草が始まった。
幼虫は背中を曲げているが、体長は概ね30mmだった。


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画像 1 ごみだと思ったら、黒色の、胸脚は図太く、頭部は二又の角状になっている未知の幼虫だった  


頭部が二又の角状になっている未知の幼虫にわくわくしながら、撮影観察をした。


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画像 2 腹脚と尻脚。 観察している間に、アケビコノハの幼虫と気付いた。  


そのうちに、幼虫が動き始めた。後退しているようだ。
しかし、違和感があった。移動するにしたがって、本来の胸脚が見えてきた。後退でなく、前進を始めたのだった。
画像 1から画像 2までの状態には、すっかり騙されていたことに気付いた。
頭と思った箇所は尻だった。そして、図太い胸脚と思ったものは腹脚だった。


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画像 3 移動を始めて、図太い胸脚は腹脚と気付いた  


移動をやめたので、腹部の目玉模様を撮影してみた(画像 4)。後で気付くのだが、本来の頭部と胸脚が画像 4 に写っていた。
まるで、頭部と胸脚を隠しているように見える姿である。


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画像 4 頭部と胸脚を隠しているように見える  


移動をやめた状態で、頭部と胸脚を隠して、尻脚を持ち上げていた。
でも、もう騙されることはなかった。
目玉模様でアケビコノハの幼虫を思った。それと、植物が、ミツバアケビ(三葉通草)か、ゴヨウアケビ(五葉通草)の若い蔓と思えた。そんなことで、ようやくアケビコノハの幼虫と気付いた。
分かってみれば、植物は、コアジサイとミツバアケビか、ゴヨウアケビの若い蔓が重なっていたのであった。
幼虫の長さは概測したが、太さは測らなかった。蔓は太さを測った。φ2.6だった。
蔓の太さと比較することで、幼虫の太さも想像できる。


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画像 5 移動中のアケビコノハの幼虫。蔓(若い枝)はφ2.6  


初めにこの姿を見れば、尻を頭と思い違いすることはなかっただろう。

ほぼ歩き初めの場所で、30分以上の大道草であった。


初見のアケビコノハの幼虫では、持ち上げた尻と、3対の図太い腹脚に騙されてしまった。
ピンと来て、気付くまでは、頭部が二又の角状で、図太い3対の胸脚の、初めて見た未知の幼虫だった。
日陰の薄暗いところで、黒っぽい幼虫であったが、運良く、その存在に気付いたものである。


2015年10月25日の道草の記




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画像 6 小さな第3腹節の腹脚。画像 5 のトリミング  


騙されているのに気付くまでにちょっと時間が掛かったが、頭部と思ったのは尾脚。胸脚と思ったのは腹脚であった。

標準的な鱗翅目(チョウ目)の幼虫は、胸脚が3対、腹脚が4対、それと、尾脚が1対。
アケビコノハの幼虫の、腹脚が3対なのが気になり、画像 5 を眺めた。そしたら、第3腹節(第3腹環節)に小さな突起状の腹脚が確認できた。
そこで、ようやく、アケビコノハの幼虫も、標準的な胸脚が3対、腹脚が4対、それと、尾脚が1対であることが分かった。
参考のため、第3腹節の腹脚は、画像 5 をトリミングして、画像 6 を作り、画像中の赤丸で囲った。

もっとも、第3腹節の1対の腹脚は、退化(進化)の過程なのだろうか、使わないように思えた。
第4腹節から第6腹節にある3対の腹脚が図太く発達しているのも、生活の便利性のためであろう。また、3対が目立つのも、尾脚と併せて、騙しのためであろう。


アケビコノハ(通草木葉蛾)
チョウ目(鱗翅目) ヤガ科 Eudocima属
Eudocima tyrannus
第2、第3腹節の各側面に1対ずつの眼状紋がある。この眼状紋は体の曲げ具合によって不気味に変化するので、これも、騙しの知恵なのであろう。


※ 1 アレチウリについて
2014年9月21日、猪のぬた場になっている湿地の縁に、アレチウリの若い果実を見出した。2011年から通り始めた場所だが、初めてアレチウリの存在に気付いた。
この丘陵地帯の、私が歩いている範囲内ではアレチウリの姿を見たことがなかった。
どのようにして、この場所に生えたのかは不明。土地の所有者が刈り払いをするとも思えない場所なので、5mほど引き抜いたが、千切れてしまい本体が不明。持参の鎌があったので、根元付近の見当を付けて刈り払いをしたが、ヒナタイノコヅチ(日向猪子槌)が邪魔したり、湿地の中に入れなかったりであった。
草藪の中のヒナタイノコヅチは、すでに果実を付けていて立派な泥棒草(どろぼうぐさ)になっていた。それなので、アレチウリの本体(根元部分)は未確認のままだった。
柄の長い鎌なら、果実を付けたヒナタイノコヅチも、泥棒草の餌食になることもなく、枝毎に逆さ切りで切れる。
しかし、常時携行している鎌は柄が短いので、枝毎に逆さ切りといった芸当はできない。

今年も、気付いたら引き抜くつもりで、通るたびに気にしてみていた。しかし、3箇月前までは、アレチウリの姿は確認できないでいた。
そんなことで、3箇月間のブランクが気になっていたが、アレチウリの姿はなかったので一安心できた。
どうやら、昨年(2014年)は偶発的に1株だけ成長したようだ。アレチウリは、既存の植物に負けるような、弱い植物ではない。昨年は果実が若いうちに駆除したので、まだ種子がばら撒かれることは防げたのかも知れない。
この時期に果実などが見えなければ一安心であるが、とりあえず、来年以降も注意は怠らないつもりである。

※ 2 ジョロウグモの巣について
2014年7月下旬から8月下旬まで猛暑で、藪に入る気力がなかったので、丘陵地帯の散歩は休んでいた。
8月下旬に散歩を再開したら、あまりの数のジョロウグモの巣に驚いた。
道脇や頭上の巣は気にならないが、顔面直撃の巣にはビビってしまう。運悪く蜘蛛の糸が眼に触れると痛い思いをする。また、顔面や帽子に貼り付いた蜘蛛の糸(巣)は粘力が強いので除去に苦労する。
ヒト(人間)が滅多に通らない300mほどの区間は、ジョロウグモの巣だらけだった。ジョロウグモには申し訳なかったが、眼に掛かる高さの巣は払いながら歩いた。撤去数は30以上だった。その数、30までは数えたが、後は数えるのを諦めてしまった。

同じ区間で、10月中旬には、眼に掛かる高さの巣の、払い数は8に減った。数も10までなら、歩きながらでも、どうにか数えることができる。
いずれにしても、2014年は、2013年以前と比べ、ヒトが滅多に通らない300mほどの区間は、ジョロウグモの巣が異様に多かったようだ。

昨年はそんなこともあり、私が通るたびに、せっかく造網したものを壊すが心苦しかった。そこで、いつもの道から入るのは、8月下旬から3箇月間は控えていた。








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