アオツヅラフジにたかるヒメエグリバの幼虫

翅を閉じた姿が枯葉にそっくりなアケビコノハ(通草木葉蛾)、アカエグリバ(赤抉羽)や、ヒメエグリバ(姫抉羽)というヤガ科(夜蛾科)のエグリバ(抉羽蛾)の仲間がいる。
どれほど似ているのか、実際にお目に掛かってみたいものと、常々思っている。
もっとも、鱗翅目に限らず、虫の仲間は散歩の時に見掛けて気になったものを撮影して、名前(和名)を調べる程度のことしかしていない。そんな訳だから、余程の偶然でもなければ、お目に掛かることもないだろう。

2015年6月27日の夕刻、偶然、アカエグリバの成虫を見た。
黄緑色の草本に枯葉のようなものがたかっていた。近付いてみると、タデ科ギシギシ属で帰化植物のエゾノギシギシ(蝦夷の羊蹄)に、一見、枯葉に似た小さな蛾がたかっていた。翅を閉じていたので、全長を測った。全長は30mmだった(画像 1 )。
帰宅後、調べると、アカエグリバだった。
常々、お目に掛かってみたいものと、思っていただけに、翅を閉じた様子が枯葉のような蛾の正体が判って、うれしいものがあった。
翅を閉じた姿は、確かに、枯葉のようである。また、和名に採用されている「エグリバ」は、翅(羽)が抉(えぐ)れたように見えるところから来ているようである。


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画像 1 エゾノギシギシにとまっていたアカエグリバの成虫  


ところで、このアカエグリバや、まだ出遭ったことのないアケビコノハとヒメエグリバの成虫たちは、果実吸蛾類の代表的な存在で、果実吸蛾の御三家でもあった。いわゆる、吸汁性害虫として知られているそうだ。
柑橘類、梨をはじめとして、桃、李(すもも)、葡萄、林檎などの果実を吸害するとのことであった。
夜行性の蛾なので、果樹園では、誘蛾灯にトラップを併設して捕殺しているとのことであった。

幼虫の方は、
アケビコノハは、ゴヨウアケビ(五葉通草)、ミツバアケビ(三葉通草)、ムベ(郁子)。
アカエグリバと、ヒメエグリバは、アオツヅラフジ(青葛藤)が、食餌植物とのこと。
アオツヅラフジは、地方によっては別名のカミエビ(神衣比)とも呼ばれる。
また、アケビコノハは、ヒイラギナンテン(柊南天)、アオツヅラフジも食うとの情報があった。


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画像 2 アオツヅラフジの蔓にとまっていたヒメエグリバの幼虫  


アカエグリバの成虫を見たことで、近い仲間(Oraesia属)のヒメエグリバの幼虫を思い出した。
初めての出遭いは、2014年7月6日のこと。アオツヅラフジの蔓に、黒色(漆黒)の体に黄色、橙色、白色などの斑紋をイルミネーションしたような幼虫を見た。あまりにも派手で目立ち過ぎの幼虫であった(画像 2 )。

アカエグリバの成虫を見たが、幼虫はまだ見たことがない。
アオツヅラフジは、特に興味もなく、観察対象外の植物。
それでも、幼虫を見たくて、時々、気にしてアオツヅラフジを眺めることがある。

そして、2015年9月20日。再び、目立ちすぎるヒメエグリバの幼虫を見た。
アオツヅラフジの葉を食っているところだった。体長は、50mmだった。
撮影には不向きの場所だったので、撮影の間だけ別の場所に移動してもらった(画像 3 )。


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画像 3 撮影の間だけ移動させたヒメエグリバの幼虫 体長は、50mm 


ヒメエグリバの幼虫は、移動させられた場所が気にくわないとみえて、尺取歩行で盛んに気に入った落ち着ける場所を探しているようだった(画像 4 )。
ふと気付くと、腹脚が3対しかないようだった。
それも、通常と思える大きさの腹脚は2対しかないようだ。

調べてみると、第3腹環節の腹脚はなく、第4腹環節の腹脚は小さい。とのことだった。
実質、腹脚は2対。だから、尺取歩行をする訳である。


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画像 4 尺取歩行で移動中のヒメエグリバの幼虫 通常と思える大きさの腹脚は2対 


さらに、2015年10月18日。9月20日と同じ場所で、体長が15mmの、小さなヒメエグリバの幼虫を見た(画像 5 )。
すでに、アオツヅラフジの葉は、食い尽くされて、まったくなくなっていた。残るのは蔓のみであった。
餌がなくなって、新天地への移動を試みて、悩んでいるようだった。


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画像 4 別の植物の茎で休んでいるヒメエグリバの幼虫 体長は、15mm 


画像を眺めると、第3腹環節には腹脚はない。そして、第4腹環節の腹脚が小さい様子がよく判る。
ヒメエグリバの幼虫は、ちょっと触っただけで、直ぐに落ちる。実質の腹脚が2対なので、他の4対の幼虫と比べると、粘りがないのかも知れない。

ところで、Webの画像で見る限り、
アカエグリバの幼虫は、ヒメエグリバの幼虫のように、派手で目立ち過ぎということはない。
せっかく、成虫が見られたのだから、幼虫も見てみたいものである。
また、ヒメエグリバは幼虫を見ているので、成虫にお目に掛かってみたいものである。


ヒメエグリバ(姫抉羽)
チョウ目(鱗翅目) ヤガ科 エグリバ亜科 Oraesia属
Oraesia emarginata

アカエグリバ(赤抉羽)
チョウ目(鱗翅目) ヤガ科 エグリバ亜科 Oraesia属
Oraesia excavata

共に、幼虫はアオツヅラフジの葉を食う。


漢字表記などの覚え
ヤガ科(夜蛾科)・Noctuidae
エグリバ亜科(抉羽亜科)・エグリバ類・Calpinae



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腹脚のことで参考にしたページ
http://fukumitu.sakura.ne.jp/insect/ga2_.html






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