ノササゲとトキリマメ

ノササゲ(野豇豆・野大角豆)とトキリマメ(吐切豆)が並んで咲いていた。
並んでといっても数メートルは離れている。
場所はちょっとした切通しの法面。思いがけず、ノササゲとトキリマメの花を見ることができた。


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画像 1 ノササゲの花 


しかし、不思議なのは往路では花の存在に気付かずに通り過ぎた場所であったことである。
帰路は通らない予定の道だったが、稜線で時間が足らなくなり、やむを得ずこの道に下りてきた。
夕刻ではあったが、ごく自然に黄色の花が目に付いた。
私にとっては小さな花で、遠目にはトキリマメの花と思った。近付いて、花の色だけでトキリマメと判断した。
ちょうど、別の場所で、トキリマメを観察中なので、円筒状の萼から始まり長細い形状の黄色の蝶形花(画像 1 )の様子から、トキリマメと思い込んでしまった。
虫眼鏡越しにちょっと観察したが、前日(2015年9月12日)に観たトキリマメの花と旗弁の形状が違っているように思えた。もう少し観察したいところであったが、夕方で暗くなり始めているので、肉眼の限界を感じて諦めた。
念のため、小葉を含め葉を撮影した。これは、撮影しながら気付いたが、トキリマメの葉と形状が違っていた(画像 2 )。


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画像 2 ノササゲ 葉の様子  


すぐ隣には、蕾があった。花序には若い蕾から間もなく開花するであろう蕾が見えた(画像 3 )。
蕾には、もやもやっと黄色の部分が目立った。
虫眼鏡越しにちょっと観察した。この花序の蕾は、萼筒の部分に黄色の腺が顕著だった。観察途中で憶えたての、トキリマメの蕾に間違いないであろうと思った。
肉眼で見えたもやもやっと黄色の部分は、萼筒の部分の黄色の粉を吹いた様な腺だった。黄色の腺は、トキリマメの萼筒の特徴のようである。
念のため、参考程度に、小葉を含め葉を撮影した(画像 4 )。


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画像 3 トキリマメの蕾  花序の下部から咲き始める 


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画像 4 トキリマメ 葉の様子 


更に隣の株では、盛りは過ぎた感はあるが、トキリマメの花が咲いていた。
盛りの過ぎた花は兎も角として、小葉柄の小托葉(画像 5 )が面白そうだったので撮影してみた。
線形の小さな托葉に、細い毛が生えていた。この様子が面白く思えたのである。もっとも、小托葉の細い毛は、私の肉眼では認識不能の世界である。
また、画像では、タンキリマメの葉との比較に役立つ、葉の縁の細い毛と、葉の表面にほとんど毛がない様子も写っていた。


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画像 5 左側 トキリマメの小葉柄の小托葉  中央 花 


帰宅後、画像を眺めていると、画像 1 の花はトキリマメではなく、ノササゲの花だった。
初めて見た花であったが、萼筒の先端部が、斜めにスパッと切ったような形状であった。この、萼筒の先端部の形状はノササゲの花の特徴のようである。
それに、葉の形状が、果期に観察したことのあるものと似ていた。

ノササゲは、2013年の晩秋に、自然の中の高貴な色と思えた紫色の莢を見た。それ以来、見てみたいと思っていた花だった。
現地では、それに気付かず、少し観ただけだった。旗弁の頂部がアールを描いて窪んでいたように見えて、トキリマメではないと判断した程度であった。
現地で観た旗弁の幅が3mm程度と狭かった。画像で確認したら、旗弁は、外側に反り、丸まる方向に広がっていた。
旗弁は、明るさの少ないときに、正面から見たので、幅が狭いと感じただけで、外側に丸まる方向に広がっていたとは気付かなかった。
今にも咲きそうな蕾の長さを測っておいた。萼筒を含め、15mmほどだった。


ところで、この場所はちょっとした切通しの法面。不定期だが、夏季に1~2回刈り払われている。
2011年から始まった丘陵地帯の散歩では通過頻度が高い場所。しかし、刈り払いがあるので、植物の継続観察には不向きである。
それでも、マメ科ハギ属のキハギ(木萩)を非継続で観察する場所でもある。そんなこともあり、この場所の通過のたびに、キハギの様子と共にめぼしい植物がありやしないかと物色しながら歩いている。

この日、行きも法面を眺めながら通過したのだが、黄色の花は気付かなかった。予定変更があり、帰りも通った。
そして、初めにノササゲの黄色の花に気付いたのであった。更に、隣にも、その隣にも黄色の花が見えたのであった。
前日は別の場所で、トキリマメの花を見た。このときも、1回目では発見できず、念のためと思った2回目で見出すことができた。
トキリマメは葉腋付近からの短い花序軸が葉陰に隠れている。
覗き込む角度によって見えたり見えなかったり。ということもあると思う。

往路での通過時は、寒冷前線の通過中で暗い曇り空。帰路の通過時は、寒冷前線が抜け切り青空が出た後の夕刻。
前日も、1回目に葉を裏返したり、葉陰を覗き込んだりした時は暗い曇天だった。念のためと思った2回目は、明るい西日の射す時であった。
どうやら、トキリマメとノササゲの黄色い小さな花は、曇天時で暗いと目立たないのかも知れない。

さて、この切通しの法面、今年の様子では、もう刈り払いはないと予想される。
最後の刈り払いの後に蔓の伸びたノササゲとトキリマメで、絡みつく高い物がないので、低い位置で咲いていた。
ノササゲとトキリマメは共にマメ科のつる性の多年草。今秋から冬までの観察のみになってしまうかも知れないが、結実後の莢(果実)の成長の観察が楽しめそうである。
刈り払いのタイミングと、猛暑で日照りの夏と、お盆から始まった長すぎた秋雨などの条件で、この場所での観察ができるようになったようである。


こうなると、似たような豆科のタンキリマメ(痰切豆)も見てみたいという願望が益々高まってきた。
しかし、この地では、タンキリマメは平地の植物。
都市開発の影響で減少し、強い勢力で繁茂する外来植物に駆逐されたという。
それでも、誰も知らないところでひっそりと生きているのかも知れない。機会があれば見てみたいものである。


2015年9月13日は、丘陵散歩の時間帯に寒冷前線が通過し、雨宿りの時間が長かった。
それでも、この記事のノササゲとトキリマメの花を始めとして、植物や昆虫の観察の収穫の多い日だった。
望ましいことではないが、イノシシ(猪)も3箇所で、計5頭見た。イノシシの食欲の秋だったのか、それとも、寒冷前線が通過中で暗い曇天で活動し易かったのだろうか。


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