ヤマハギの仲間 同定のために

 今年(2013年)の8月になって、俄かに、ヤマハギの仲間の名前(種名)を調べたくなった。
 以前は、立秋過ぎに、野山で見かける萩の花は興味がなかった。それが、8月11日に丘陵地帯で見たヤマハギの仲間と思われる花(画像 1)を見てから、俄かに、名前を知りたくなったのである。

画像

画像 1 ヤマハギの仲間


 ヤマハギの仲間は、マメ科ハギ属の植物。と、認識してた。しかし、名前を調べる(同定する)手掛りになるものが手元にない。Webで調べたら、国内に自生する野生のヤマハギの仲間を解説したページがあった。
 それは、秋山 忍さんの書いた「ハギ属の分類」だった。
 その「ハギ属の分類」によると、マメ科ハギ属ヤマハギ節に含まれるものがヤマハギの仲間ということになる。ヤマハギ節の特徴は、落葉低木または低木状となる。そして、閉鎖花を つくらない。さらに、花が通常長さ10ミリ以上となる。とのことだった。
 国内では、ヤマハギ、マルバハギ、クロバナキハギ、ツクシハギ、タイワンハギ、ケハギ、キハギ、チョウセンキハギの8種が野生するとのこと。

 各種の解説に眼を通し、分布図を眺めた。
その結果、
A: ヤマハギ  Lespedeza bicolor Turcz.  ◎ 日本全土
B: マルバハギ  Lespedeza cyrtobotrya Miq.  ◎ 日本では本州(東北地方日本海側を除く)、四国、九州
C: クロバナキハギ  Lespedeza melanantha Nakai  日本では愛知・熊本および対馬に分布する
D: ツクシハギ  Lespedeza homoloba Nakai  ◎ 日本固有種であり、東北地方(太平洋側)から九州にかけて低地から低山
E: タイワンハギ  Lespedeza formosa (Vogel) Koehne  日本では本州中部以西に分布する
F: ケハギ  Lespedeza patens Nakai  本州の日本海側の多雪地に分布する
H: キハギ  Lespedeza buergeri Miq.  ◎ 本州(東北地方および中部地方の日本海側を除く)、四国、九州、中国
I: チョウセンキハギ  Lespedeza maximowiczii C.K.Schneid.. 日本では対馬に分布する
以上のようになり、「◎」のものが私のフィールドとしている丘陵地帯で観察できる可能性があることがわかった。
 「G」が抜けているが、各種の解説と、挿図の「16-7 ヤマハギ節各種の花」のABC順の符号を対比させるために除いた。
 なお、
G: オクシモハギ  Lespedeza davidii Franch.  中国中部に分布する。日本には自生しない。
で、あった。
 学名については、「YList」でsynonym(シノニム)となっているものあったが、ここでは、標準名に置き換えず、原文のものを記載した。


 改めて、記すと、私のフィールドとしている丘陵地帯で観察可能と思われるヤマハギの仲間は、ヤマハギ(山萩)・マルバハギ(丸葉萩)・ツクシハギ(筑紫萩)・キハギ(木萩)の4種となる。ただし、夫々が、自生していることが前提である。

 以下に、観察の閻魔帳用に、各種の解説から必要と思われる部分を書き出した。
   ---
A:  ヤマハギ(山萩)
日当りのよい場所に生育する。高さ2メートルくらいになり、枝はよく分枝する。花は7~9月に咲き、明るい紅紫色で、長さ10ミリ前後である。
萼は長さ3ミリくらいで、裂片の先端は鈍形または鋭形である。
旗弁は翼弁や龍骨弁より長い。旗弁は倒卵形で、基部は次第に細まり、耳状突起は小さい。
翼弁は龍骨弁より明らかに短い。
果実はほぼ円形または倒卵形で、長さ5~7ミリである。

B:  マルバハギ(丸葉萩)
日当りのよい路傍や沿海地には特に多い。高さ2メートルくらいになり、枝をよく分枝する。花はヤマハギと同様に7~9月に咲き、明るい紅紫色で、長さ10ミリ前後である。
花序は花序軸がほとんど伸長せず、密に花が着き、ふつう葉より短い。
萼は長さ4~6ミリで、裂片の先は鋭尖形である。
旗弁は翼弁や龍骨弁より長い。旗弁の形態はヤマハギに似るが、翼弁は龍骨弁より明らかに長く、容易に識別される。
茎や枝の毛が開出する個体はカワチハギとして区別される。

D:  ツクシハギ(筑紫萩)
低地から低山に分布している。キハギに次ぎ木質化がすすみ、またキハギを除いた他の種と比較して耐陰性が強い。
葉の上面は中肋を除き無毛で、小葉の先端はふつう鈍形または凹形である。
萼裂片は萼筒とほぼ同長またはふつう短く、五裂片がほぼ同形で、先端は鈍形または鋭形であるが、変異が大きい。
花はヤマハギより白っぽくみえ淡紅紫色で、長さ10ミリ前後である。
旗弁はふつう龍骨弁より短く、耳状突起はよく発達し腎形である。
翼弁は龍骨弁より短く、明るい紅紫色である。

H:  キハギ(木萩)
耐陰性が強く、林の中にも生育する。また最もよく木質化する。
冬芽の鱗片葉および葉は2列互生に位置し、上記の各種からは容易に識別できる。
花は初夏から初秋に咲く。花は他の種よりやや小型である。
萼裂片の先端 は鈍形または鋭形であるが、鋭尖形とはならない。
萼の基部の小苞は円形から広卵形である。
旗弁は黄色で基部付近に紫斑があり、龍骨弁より短く、さらに翼弁よりやや短いかほぼ同長である。耳状突起はよく発達する。
翼弁は紅紫色または紫色である。
龍骨弁は淡黄色である。

   ---
 以上の、解説からの書き出しにより、標準的な個体であれば同定は可能であろうと思う。
 せっかく調べたのだから、ヤマハギの仲間を求めて、そして、園芸種や帰化種が生えていないことを祈って、フィールドワークに励んでみたいものである。

 ところで、8月11日に見たヤマハギの仲間と思われる花(画像 1)は、この原稿を書き終えて、旗弁も、龍骨弁も白色であるが、キハギであった。と、思うようになった。
 簡易的に、ヤマハギ・マルバハギとは旗弁の形と色が違う。また、ツクシハギは「ヤマハギより白っぽくみえ淡紅紫色」とあるのでこれも違う。そして、「旗弁の基部付近に紫斑」という条件で、キハギに落ち着いてしまった。
 キハギは解説を読んで、漢字表記すると「黄萩」だろうと思っていた。しかし、Webで調べると、「よく木質化する」に因んで、「木萩」だった。

 

   ---   ---   追記
この記事に基づいた、ヤマハギ(山萩)・マルバハギ(丸葉萩)・ツクシハギ(筑紫萩)・キハギ(木萩)の4種の観察記録を書き始めた。以下、夫々の記事へのリンク。
ヤマハギ(山萩)
マルバハギ(丸葉萩) 
ツクシハギ(筑紫萩)
キハギ(木萩)

関連記事 ヤマハギの仲間 比較同定のために 2013.10.5


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